翌日，サルビア・サミットのオプショナルとして，自由参加の近隣のオープンガーデンがあった．卸売りしか行わないSuncrest Nurseriesへの訪問も含めいくつかの選択肢があったが，何といってもまずはBetsy Clebschさんのお庭を訪問した．
Betsy の家は丘の上，というかどちらかというと山の上の方にあって周囲は明るい草原．とっても日当たりの良いところにあった．道順が難しくKathe のだんなさんのJack の運転でなければ迷子になっていたと思う．建物はとても立派ですばらしい造り．到着すると，既にRichard，Christian 一家などが来ていてまずは皆で談笑．しばらく会話を楽しんだ後にBetsy 自ら庭を案内してくれた．やはりサルビアが多いが，薔薇など他の植物も多い．木々も多く，木陰と日向が交互に現われる感じである．Salvia spathaceaなどは木陰をびっしり埋め尽くすように生えていた．日向でも育つが少し日陰の方のがよく育つようである．
たぶん気候がカリフォルニアに近いのだと思うが，カナリー諸島原産のSalvia canariensis も背丈ほどに大きくなり，しかも花が満開で大変美しい．ここにあるSalvia blephalophylla はとても花が大きい．Christian はblephalophylla に間違いないと言っていたが，日本で売っているのとかなりイメージが異なる．Salvia sonomensis は花も終わり，葉がかなり白っぽかったがグランドカバーとして大変素晴らしい．鹿を防ぐ柵の外側に植えられていたので，どうやら鹿の食害にはあわないようである．
気に入ったのはSalvia keerlii．背の丈が2.5mくらいもありとても大きくなっている．聞けば春先に根元付近まで切ったとのことなので数ヶ月でここまで達したことになる．よほど気候があっているのだろう．地中海気候のカリフォルニアの夏はほとんど雨が降らず，相当乾燥している．日本だと草原は夏は緑，冬は枯れた黄色となるが，ここでは夏は草が枯れて黄色になる．このようなときでも，水遣りは２週間に一度程度，ただししっかりと深くやるそうだ．乾燥を防ぐためウッドチップなどでマルチングしてあるが，Katheに聞いた話ではウッドチップはこの辺ではタダで手に入るそうである．森林が多く，原料には困らないらしい．同様に堆肥もとても安価で，馬糞を使うそうだが馬を飼っている人が多く，こちらも原料には困らないらしい．
次に向かったのはSandi Martinさんのお宅．Saldi はCabrillo College に勉強に来ていたことがあり，その後にKathe と一緒にCabrillo で働いていた経験があるそうである．到着した時点でオープンガーデンの閉門時間16時となっていたが，日本から来たということで歓迎してくれた．Richard やSalvia divinorum の研究家であるDaniel Siebertさん夫妻などが来ていた．
Sandi のお宅もお庭もBetsy のところと同様に素晴らしいが，より海に近い丘の上にある．周囲は林だが，お庭は自然の地形と植物の高低で変化を付けている．例えばある一角ではSalvia apiana の交雑種である‘Frankie Lee’ を中心に植えて，周囲を背の低い植物で配置している．南アフリカ原産のSalvia desoleana も大活躍していて，気候が合っているのか茎が木質化して10cmくらいの太さにまでなっている．Salvia ‘Phyllis Fancy’ や‘Purple Majesty’ なども目立つ場所で使われていた．そして，木の下にはSalvia chiapensis がこんもりと茂ってたくさん花を咲かせていた．雨の少ないこの季節でも元気だが，Sandi のところでも水遣りは2週間に一度程度でしっかりと行うそうだ．
Sandi の説明の中には「これはKathe からもらった」というのがしばしば出てくる．Salvia squalens のパープル花，Salvia flocculosa など珍しい種類も多い．Kathe にしてみれば，バックアップの目的もあるそうである．
ところで，ここではハチドリの姿が格段に多い．実は家屋の北側の軒下に砂糖水を入れたバードフィーダがあって，ハチドリがひっきりなしにやってくる．二日前にCabrillo のガーデンでハチドリを初めて見たときは妖精のイメージだったが，ここでは人にぶつかりそうになって飛んでくることもあって，妖精というよりもミニ戦闘機のようだ．「目にも留まらず」というのがぴったりした表現だが，Salvia ‘Wavery’の蜜を吸うためにホバーリングして飛んでいるところをやっと撮影できた．
サルビアがたくさん植えられているお二人の素晴らしいお庭を見せていただき，とても満足．サルビア・サミットの三日目も大変充実したものとなった．
写真上から；
1) 姿も香りも良いSalvia keerlii．Betsyの庭で大きく育っていた．
2) 花が大きくてイメージが違ったSalvia blepharophylla
3) Salvia leucantha の交雑種で人気の高いSalvia ‘Phyllis Fancy’
4) Sandiのバックヤードで大きく茂りたくさん咲いていたSalvia flocculosa．Salvia lycioides，Salvia greggii などに近い種である．
5) 珍しいSalvia squalens のパープル花．ペルー，エクアドル原産．